暮てくれ

早く1日が暮れてほしいと願う人のブログです。

電話番

f:id:ll5:20180627151654p:plain

向いてない。そう思った。
「君が暇にしているから来てやったのに」
姉がそう言った。暇なんかしてない。心の中が忙しい。私は失態を犯したのではないか、と。
うるさい。元気な洋楽が流れている。本当にうるさい。だまれ、と思った。
私はあまり喋らない。だからこうして代わりに文字に起こす。タイピングの方が楽だし、漢字を書かなくていい。
あーだからもう、なんだ、テイラー・スウィフトか?シェイクイットが延々と流れている。私の耳には騒音にしか聞こえない。
私はきっと、仕事に向いてない。社会に向いてない。社会不適合者なのだ。不登校、引きこもり、精神疾患
オンリーだ、コンプリートだ、お祝いできちゃうレベルの、負の要素のバーゲンセールである。
父に電話番を任された。自営業をしており、展示会があるので会社を空けるのだそうだ。だから持ちかけられた。
会社で電話番をしないか、と。私は承諾した。だって、日給一万貰えるんですもの。それを三日。全部で3万。
特別な人と会う予定や、旅行の計画を立てている私にとって飛びつかない理由はなかった。
でも、どうだ。実際やってみて。こうだ。電話相手に、鼻で笑われた。そもそも相手の滑舌が悪いのもあったが、あきらかに人を下に見るタイプの人間だな、
と思った。話を進めると案の定、電話番号が私に伝わってないことにいらだちを覚え始めたではないか。
私は無能だ。はいもしもし、無能です。と言う訳にはいかない。苦笑、失笑、どう笑っていたのか。それでも、間違いなく鼻で笑われていた。
元々電話が得意じゃない。相手の声を聞き取るのが極端に苦手だし、相手がどんな表情をしているかわからないし、疲れる。結局不安な気持ちが残るまま、相手は怒らせたまま、電話を切ってしまった。はやく切りたかった。こんな電話、くそくらえだと思った。控えといた会社名、これはうまく聞き取れた。しかし社員の名前が聞き取れなかった。そもそも言わなかったかもしれない。相手の威圧感に負けて聞き過ごしてしまった可能性が高い。最後に電話番号。基本的に電話番号は03~四桁~四桁や080~四桁~四桁で始まると思っていたので、不意を食らった。03~二桁~四桁(だと思う)だったのだ。何度も聞き返す。その度相手は失笑し、怒りが募るのか、どんどん威圧的になってゆく。こわかった。はい、失礼します、ありがとうございます。とだけ言って、電話を切った。よくわからなかった。残ったのは自分は無能だ、これだけだった。会話を姉に聞かれていたので「ここはこうした方がいい」「ばかじゃないの」などと言われた。そのとおりだと思うので、より辛かった。この人、早く帰ってほしいなと思った。というかもう電話がかかってこないで欲しい。あと二時間だ。今は15時。もう自動音声とかにすればいいじゃねえか。俺である必要はないだろ、どうしてみんな殺しに来るんだ。優しくしてくれ、怖いのは嫌だ。電話がある度、更新していこうと思う。